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ニュースリリース
  • No.sfa0056(2023/3/29)

第22回(2022年度)佐治敬三賞は
「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」に決定

「北村朋幹 20世紀の邦人ピアノ作品」
(2022年10月9日)

「北村朋幹×ジョン・ケージ」
(2022年10月8日)

©TAKA MAYUMI
北村朋幹

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第22回(2022年度)受賞公演を「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」に決定しました。

●選考経過
応募のあった2022年実施公演について2023年2月12日(日)当財団会議室にて選考会を開催。慎重な審議の結果、第22回(2022年度)佐治敬三賞に「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」が選定され、3月27日(月)の理事会において正式に決定された。

●賞金 200万円

●選考委員は下記の8氏
伊藤制子、伊東信宏、片山杜秀、白石美雪、長木誠司、野々村禎彦、舩木篤也、水野みか子(敬称略・50音順)

(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

●受賞公演
「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」 

<贈賞理由>
 「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」は滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 小ホールで行われた「20世紀の邦人ピアノ作品」と題された演奏会(10月9日)と、その関連企画として滋賀県立美術館エントランスロビーで開催された「北村朋幹×ジョン・ケージ」という演奏会(10月8日)で構成されていた。メインはびわ湖ホールでの演奏会であるが、北村にとって後者におけるケージの《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》全曲は邦人ピアノ曲と時空を超えて応答し合う関係なのではなかったろうか。
 武満徹の《2つのレント》に始まり、福島和夫《水煙》、柴田南雄《ピアノのためのインプロヴィゼーション第2番》、八村義夫《彼岸花の幻想》、松村禎三《ギリシャによせる二つの子守歌》、甲斐説宗《ピアノのための音楽》と続き、石井眞木の《ブラック・インテンションIII-息のためのピアノ練習曲-》に終わる、1960年代から70年代の作品を中心とした演奏会は、アンコールに演奏された高橋悠治の《秋のオーロラ CANTO I》を含めて実にさまざまなスタイルとアイディアを盛り込んだものであった。アンコールの高橋以外はすべて故人となった作曲家たちのピアノ曲を、こうした形でまとめてプログラム化するピアニストは、21世紀の現在そうはいない。そして、それらはかつて作曲者たちが存命中に頻繁に採り上げられていたころの演奏とはまったく異なったもの、すなわち不可視の歴史の襞を確実に感じさせつつも、時間の距たりのなかで変容してきた、純粋に今の視点から捉え直された作品として、どれもこよなく新鮮に響いた。作曲当時のアイディアを超えて、作品が新たな生命を吹き込まれつつ、不死性へと架橋された瞬間を聴き手は目の当たりにしただろう。
 石井作品では舞台上でのピアノのプリペア(弦の間にねじやゴムを挟み、特殊な音響を作り出すこと)をも演奏の一部として感じさせながら、内省的で濃厚な時間の持続を途切れさせることなく、いわば北村自身の高密度の宇宙を描くような演奏会は聴き手に強いインパクトを与えた。
 関連企画として行われたジョン・ケージ作品の演奏会は、オープンな空間で出入り自由の公演であったが、各回100人ほどの聴衆が各々の角度から聴き入り、誰も出ていこうとしなかった。事前に慎重に行われていたピアノのプリペアは、それ自体が「解釈」であり、同時に「演奏」の一部だったと言えるだろう。澄み切って、同時に深みのあるタッチで長大な作品が克明に描き出され、特に後半はひたすら演奏の集中力が増していくのが感じられた。今という時間上にある日本だからこそ生まれ得た思索的な演奏であり、北村の創り上げる宇宙はここでもひとびとを魅了してやまなかった。

(長木誠司委員・伊東信宏委員)

<公演概要>
名称:「北村朋幹 20世紀の邦人ピアノ作品」
日時:2022年10月9日(日)15:00
会場:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 小ホール
曲目:
武満徹/2つのレント(1950)
福島和夫/水煙(1972)
柴田南雄/ピアノのためのインプロヴィゼーション第2番 no.31(1968)
八村義夫/彼岸花の幻想op.6(1969)
松村禎三/ギリシャによせる二つの子守歌(1969)
甲斐説宗/ピアノのための音楽(1974)
石井眞木/ブラック・インテンションIII-息のためのピアノ練習曲-op.31(1977)
出演:ピアノ 北村朋幹
主催:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

(関連企画)
名称:「北村朋幹×ジョン・ケージ」
日時:2022年10月8日(土)11:00/14:00(2回公演)
会場:滋賀県立美術館 エントランスロビー(入場無料)
曲目:ジョン・ケージ/プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード(1946-48)
出演:ピアノ 北村朋幹
主催:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
共催:滋賀県立美術館

以上

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